大事なこと その4
烈火のごとく怒っていらっしゃったのを見て、私の尊敬する人はそのまま政治家の方が席を蹴って帰ってしまうのではないかと心配したぐらいです。
しかし政治家の方は、憤懲やるかたないといった表情で会場へ入っていきました。
あの調子で挨拶を始めたら、いったいどんな話になるか。
私の尊敬する人でなくとも興味を抱くところでしょう。
同じ調子で出席者を怒鳴りつけるのか、それとも怒鳴ったことは水に流して、ありきたりの挨拶をするのか。
彼の挨拶は、そのどちらでもありませんでした。
「先ほど、皆さんからの提言を読ませていただいた。
私の尊敬する人は、きわめて次元の低い内容だと思った。
しかし思い直してみると、これほどまで皆さんが金融の問題で苦しんでおられるのだということに思いをいたした。
したがって、先ほどカッとなって幹部諸君を怒鳴りつけたことは申し訳なかった。
訂正したい。
金融問題が大変だということは、よくわかった。
だから、この問題については一緒になって考えよう」政治家の方は、そういう意味のことをおっしゃりながら、会議場全体に熱のこもった視線を送っておられました。
まったくもって、見事というほかありません。